病院で手術や入院を受ける際に提出を求められる緊急連絡先。
頼れる親族がいない人にとっては、不安を感じる要素かと思います。
そこで本記事では、緊急連絡先がいない人は病院で入院や手術が受けられないのかについて詳しく紹介していきます。
対処法や実際に緊急連絡先が使用されるシーンについても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
- 入院・手術時には緊急連絡先が必須なのか
- 緊急連絡先がいない場合の対処法
- 病院に提出する緊急連絡先の役割
緊急連絡先がいない人は入院や手術を受けられない?
病院で入院や手術を受ける際には緊急連絡先の提出を求められるケースが一般的です。
多くの場合緊急連絡先の提出を求められますが、身寄りがないといった事情で緊急連絡先を用意できないと入院や手術が受けられないわけではありません。
医者は診察や治療を求められた場合に正当な理由がなければ拒んではいけないと法律で定められています。
そのため、自力で緊急連絡先を確保できなかったとしても絶対に入院や手術は断られません。
緊急連絡先を用意できない場合は、看護師か病院に在籍している医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
緊急連絡先を病院で求められた場合どうすべき?
緊急連絡先を病院から求められた場合の対処法としては、以下のような方法があります。
- 親族や友人に頼む
- 緊急連絡先代行業者に依頼する
- 弁護士・行政書士に依頼する
親族に頼めない場合は、まず病院の看護師または医療ソーシャルワーカーに事情を話してどう対処すべきか判断を仰ぎましょう。
なお、医者は診察や治療を求められた場合に正当な理由がなければ拒んではいけないと法律で定められているため、自力で緊急連絡先を確保できなかったとしても入院や手術は断られません。
親族や友人に頼む
入院・手術時に求められる緊急連絡先は、親族や友人に頼むケースが一般的です。
病院側からできれば親族や友人に頼むよう求められるからです。
代行業者や弁護士に頼む方法もありますが、知人に頼んだ方が融通が利くため頼める相手がいる場合は親族や友人に頼むことをおすすめします。
代行業者や弁護よりも友人、友人よりも親族に頼む方が好ましいとされています。
緊急連絡先代行業者に依頼する
親族にも友人や知人にも頼める相手がいない場合は、代行業者への依頼をおすすめします。
代行業者とは、身寄りがない人や事情があり親族に連絡先を頼めない人から、入院時や賃貸契約時の緊急連絡先を請け負っているサービスです。
1年あたり1~3万円程度の費用で依頼できます。
違法性は一切なく、代行業者を利用していると病院側に伝えてもトラブルにはなりません。
代行業者がおすすめな理由は、ほかの対処法と比べて費用がかからないからです。
なお、利用時に審査は無いため、高齢者や収入が少ない人でも利用できます。
弁護士・行政書士に依頼する
代行業者の利用に不安がある場合は、弁護士や行政書士に依頼すると良いでしょう。
弁護士や行政書士といえば法律相談のイメージを持っている方がほとんどかと思いますが、個人と契約を行っている事務所であれば緊急連絡先も任せられます。
弁護士の場合は顧問契約、行政書士の場合は成年後見契約を利用して緊急連絡先を任せます。
緊急連絡先の代行で契約を結ぶわけではないため、同時に法律相談や財産の管理なども任せられますが、ほかの対処法と比べて費用がかかる点に注意が必要です。
契約料は事務所ごとに差がありますが、おおよそ1年あたり3~10万円ほどの費用がかかります。
入院・手術時に必要になる緊急連絡先の役割とは?
入院・手術時に必要になる緊急連絡先の役割は、緊急時の連絡を受けることです。
しかし緊急時の連絡を受けることが役割とは言うものの、賃貸契約時の緊急連絡先とは異なり、ただ電話口で対応すれば良いわけではありません。
場合によっては病院まで来るよう求められたり、病院から出られない本人に代わって支払いや手続きを求められるケースも少なくありません。
命にかかわるような重い事情で入院・手術を行う場合、本人に代わって緊急連絡先の相手が延命治療やリスクを伴う手術を行うか判断を迫られるケースもあります。
緊急連絡先を頼める相手が複数いる場合は、なるべく時間の融通が利く人から優先的に登録しておくと良いでしょう。
なお、病院によっては連帯保証人や身元保証人を別途設定しない代わりに、緊急連絡先に連帯保証人や身元保証人と同等の責任を求めるケースがあります。
緊急連絡先を登録する際は、必ず責任や求められる対応を確認してから登録してください。
知人に緊急連絡先を任せるメリット・デメリット
緊急連絡先を知人に任せるメリット・デメリットは以下の通りです。
- 費用がかからない
- 退院時のサポートも同時に頼める
- 相手に迷惑がかかる
- 頼んでから連絡先を共有してもらえるまでに時間がかかる
- 依頼時に事情を説明する必要がある
知人に依頼するメリットは、費用がかからない点と退院時のサポートも同時に頼める点です。
代行業者を利用する場合最低でも1万円以上の費用がかかるため、費用面での差は大きいと言えます。
お金をかけずに連絡先を確保したい場合や退院時のサポートまで頼みたい場合は知人に依頼すると良いでしょう。
緊急連絡先代行業者を利用するメリット・デメリット
緊急連絡先を代行業者に依頼するメリットとデメリットは以下の通りです。
- 負い目を感じることなく頼れる
- すぐに対応してもらえる
- 事情を説明する必要がない
- 費用がかかる
- 自分で業者を探す手間がかかる
- 退院時のサポートが受けられない
代行業者を利用すると知人や親族に頼む場合と異なり費用がかかってしまいますが、その分対応速度が早いことや負い目を感じずに利用できることなどのメリットがあります。
数日以内に緊急連絡先を確保する必要がある場合や周りの人に心配をかけたくない場合、詳しく事情を説明したくない場合は代行業者を利用すると良いでしょう。
代行の利用料金の相場は、1年あたり1~3万円です。
月単位で契約できる業者を選ぶと、より費用が抑えられます。
なお、代行業者の基本的なサービスは緊急の連絡を受け取ることであり、退院時のサポートといった連絡を受ける以上のサービスは頼めない点に注意が必要です。
緊急連絡先に相応しくない人の特徴
緊急連絡先は法律で頼める相手のルールが決められているわけではありませんが、以下のような特徴に当てはまる人は連絡先に選ぶべきではありません。
- 認知機能が低下している人
- 病気や障がいで緊急の対応が困難な人
- 未成年者
病院によっては相応しくない人を選ぶと変更を求められるので注意しましょう。
自分で判断できない場合は、登録時に看護師に確認をとると良いでしょう。
認知機能が低下している人
病院入院時に緊急連絡先として登録すると、大きな責任を伴う選択を迫られたり緊急性の高い行動を要求されたりする場合があります。
そのため、老化や病気で認知機能が低下している人は選ぶべきではありません。
認知機能の低下は、第三者からではわからない可能性が高いため、トラブルを起こす前にあらかじめほかの人に頼むようにしましょう。
病気や障がいを抱えており緊急の対応が困難な人
病院入院時に緊急連絡先として登録すると、様態が悪化したから今すぐに病院まで来てくださいといった緊急性の高い行動を要求される場合があります。
そのため、病気や障がいを抱えており、緊急の対応が困難な人は連絡先に指定すべきではありません。
命にかかわるような重い要件での入院ではなく検査入院の場合にも、退院時の迎えや支払い対応を緊急連絡先に求められる場合があります。
ほかに頼める親族がいる場合はほかの人に頼み、ほかに頼める親族がいない場合は緊急の対応が困難な病を抱えていると事前に伝えておくと良いでしょう。
未成年者
病院入院時に提出する緊急連絡先には、本人が危篤状態に陥ったけれど延命治療は行いますか?といった大きな責任を伴う連絡が届く場合があります。
そのため、責任能力がない未成年者はやむを得ない事情がある場合を除いて選ぶべきではありません。
親族が未成年者しかいない場合は登録を認められるケースもありますが、基本的には断られるためどうしても未成年者を選ぶ際は事前に確認をとるようにしましょう。
未成年者は精神的に十分に成熟していないため、大きな責任を伴う選択を迫られると精神を病む可能性が考えられるため注意してください。
病院から緊急連絡先に電話がかかるシーンとは?
病院入院時に提出する緊急連絡先には、本人の意識がなくなった時や危篤状態に陥った時に電話がかかってきます。
本人に代わって延命治療を行うかやリスクのある手術を行うのかなどの、大きな責任を伴う判断を問われ場合も少なくありません。
緊急連絡先を引き受けられる親族が複数人いる場合は、あらかじめ親族で話し合って決めた代表者から優先的に登録すると良いでしょう。
- 本人の意識がなくなった時
- 危篤状態に陥った時
本人の意識がなくなった時
入院・手術時に病院に提出する緊急連絡先宛てには、本人の意識がなくなった時に連絡が来ます。
意識がなくなったと連絡が来たら、なるべく早めに病院に駆けつけましょう。
意識を取り戻さずにそのまま亡くなってしまうケースも珍しくありません。
基本的には意識がある内に本人に対して手術や延命治療の方針の確認が行われていますが、本人の意識がなくなった場合には緊急連絡先に登録している人が決断を求められる場合もあります。
治療方針に関して希望がある場合は、あらかじめ緊急連絡先の相手にも共有しておくと良いでしょう。
危篤状態に陥った時
入院・手術時に病院に提出する緊急連絡先宛てには、本人が危篤状態に陥った時にも連絡がきます。
危篤状態とは、命の危機が迫っている状況のことです。
病院からの連絡は緊急連絡先に登録している人にしか届かないため、ほかに親族がいる場合は危篤状態に陥ったと連絡が届いた時点で連絡を受けた人から伝える必要があります。
親族に連絡を回したら、すぐに病院に駆けつけましょう。
どのくらい持ちこたえられるかは個人差があるため、すぐに駆けつけなければ間に合わない可能性があります。
なお、危篤状態の連絡は命の危険が迫った時点で届くため、届いた時点で数日以内の死亡が確定するわけではなく、その後快方に向かう場合もあります。
緊急連絡先がいない人からよくある質問
最後に緊急連絡先がいない人からよくある質問をまとめて紹介します。
今回紹介するのは、以下の3つの質問です。
- 緊急連絡先がいない場合役所に相談すべきですか?
- 緊急連絡先がいない高齢者はどうすべきですか?
- 緊急連絡先代行は無料ですか?
緊急連絡先がいない場合役所に相談すべきですか?
自治体によっては緊急連絡先がいないという相談に対してNPO団体の紹介を行っているケースもありますが、自治体から受けられる支援の内容は自治体ごとに異なります。
相談をしても一切の支援を受けられない自治体も存在するため、役所に相談するよりは自分で代行業者を探して契約する方法がおすすめです。
仮に自治体経由でNPO団体と契約しても、費用が無料になったり契約料金が安くなったりすることはありません。
緊急連絡先がいない高齢者はどうすべきですか?
親族がいない場合は、友人や知人に頼むと良いでしょう。
緊急連絡先は親族に任せる人が多いですが、事情があり頼めない場合には知人や友人に頼んでも問題ありません。
知人や友人含めて頼む相手がいない場合は、代行業者を利用すると良いでしょう。
代行業者とは、年間1~3万円前後の費用で入院時や賃貸契約時に必要になる緊急連絡先を提供してくれるサービスで、年齢問わず誰でも利用できます。
緊急連絡先代行は無料ですか?
緊急連絡先代行サービスは無料ではありません。
代行業者はもちろんNPO団体が提供しているサービスも共に無料ではないので注意しましょう。
利用料金の相場は、代行業者が1~3万円、NPO法人が1~6万円、弁護士や行政書士が3~10万円です。
代行業者が最も安い傾向があるため、費用を安く抑えたい場合は代行業者を利用すると良いでしょう。
NPO法人や弁護士に依頼する場合費用が高くなる理由は、連絡先の代行とそのほかのサービスがセットにされており、連絡先の代行だけでは依頼できないからです。
【まとめ】緊急連絡先を病院で求められた場合どうすべき?
本記事では、緊急連絡先を病院で求められた場合どうすべきかについて紹介しました。
入院や手術の際に緊急連絡先の提出を求められない病院はほとんどありませんが、緊急連絡先が提出できなかったとしても入院や手術は受けられます。
法律で定められており、緊急連絡先がない程度の理由では入院や手術を拒まれないため、不安を感じる必要はありません。
誰にも頼めない場合は、看護師や病院に在籍している医療ソーシャルワーカーに事情を話して判断を仰ぎましょう。
本記事が緊急連絡先を頼める相手がおらず、入院や手術に不安を抱いている人のお役に立てれば幸いです。